おならの話

おならは病気?

“おならがたくさん出る”、“おならが臭い”と悩まれる方がおられます。この方は病気でしょうか?逆に“おならが出ない”と言われる方はどうでしょう?前者の悩みは気にし過ぎや食べ物の影響のことが大半ですが、後者の症状は腸閉塞など通過障害のある病気が潜んでいるかもしれません。

おならの正体

おならの70〜90%程度は、食事などと一緒に口から胃に入った空気で、残りが腸内で腸内細菌によって食物が分解される際に発生するガスでできています。成人の場合、1日平均0.5~1.5リットルのおならが作られますが、約85%は血液中に吸収され、血管を通って肺へ運ばれ吐く息とともに外へ排出されます。残りの15%が“おなら”として5~20回くらいに分けて肛門から放出されます。ちなみに、飲み込んだ空気が口から出ると“ゲップ”になります。

おならのにおい

おならのにおいは、腸内の腸内細菌によって食物が分解される際に発生するガスに由来しています。発生するガスの種類は食べ物の成分によって異なってくるため、おならのにおいは食材の影響が大きいということになります。例えば、食物繊維が分解される際に生じるガスは、ほとんど無臭の水素ガスやメタンガスですが、肉やネギ、にんにく類などのイオウ成分の多い食物を食べると、分解・腐敗することで発生する強烈な悪臭を放つインドールやスカトールが発生してしまいます(うんちのにおい)。おならの99%は窒素、水素、二酸化炭素、酸素、メタンといった無臭のガスでできており、硫化水素、酪酸、アンモニア、インドール、スカトールといったくさいガスは約1%しかありません。

おならのにおいがきつくなる食べ物

肉類は腸内の悪玉菌のエサとなり、悪玉菌を増やしてしまいにおいの原因になります。にんにく・玉ねぎは、硫黄成分を多く含んでいるためインドールやスカトールを作ってしまいます。乳糖不耐(牛乳を飲むとお腹が緩くなってしまう)がある方は、牛乳・ヨーグルトなどの乳製品の取り過ぎに注意して下さい。コーヒーも多量に飲用すると消化が悪くなり悪臭を作る原因になってしまいます。お酒の分解過程で作られるアセトアルデヒドは、においの元になるため飲み過ぎには注意して下さい。

注意が必要な病気〜大腸がん〜

便が腸内に留まる時間が長くなると、腸内細菌によるガス産生が増えてしまいます。普段から便秘がある方は改善に努めて下さい。以前は便秘をすることはなかったのに排便具合が悪くなってきた方や腹満症状が強い方は大腸がんが心配です。一度、専門医の診察を受けて下さい。

おならを我慢したら体に悪い?

腸内ガスの多くは血液中に吸収されます。多くは肺から吐く息と一緒に排出されるので、おならを我慢したからといってすぐに健康上問題が生じることはありません。ただ、くさいおならが出るときは口臭や体臭もくさくなるので気をつけて下さい。

まとめ

おならの悩みはデリケートなものですが多くは心配いりません。“おならした 笑い過ぎておなら出た(“屁のページ”ホームページから引用)”のようにあっけらかんといきましょう。

口から飲み込む空気が多くなる原因

・早食い

・よく噛まない

熱い飲み物が好き、すするように飲み込むことで空気を一緒に飲み込んでしまう

ストレスが多い、呑気症(空気だけを飲み込んでしまう)、胃腸の運動低下の原因になります

(※ 炭酸飲料を飲み過ぎても、おならが多くなる原因にはなりません。炭酸飲料に含まれる二酸化炭素は消化管で吸収されやすいからです)

菜食中心だとおならはにおいがきつくなく、肉食中心だとにおいがきつい

においの原因

硫化水素・・・腐った卵のニオイ・温泉の硫黄のようなにおい

酪酸・・・腐ったバターのようなにおい

アンモニア・・・尿のにおいの元

スカトール・インドール・・・便のにおいの元