肺炎・肺炎球菌ワクチンについて

風邪と肺炎

私たちは、呼吸によって大気中の酸素を取り込み体内で生じた二酸化炭素を排出しています。空気の通り道である鼻腔(口腔)→咽頭→喉頭→気管→気管支→細気管支→肺のことを気道といい、更に、鼻腔(口腔)から喉頭までを上気道、気管から肺までを下気道と分けて呼びます。

風邪とは、主にウイルスの感染による上気道を主体とした炎症性の疾病のことをいいます。咽頭痛、鼻汁、鼻づまり、くしゃみなどの局部症状の他、発熱、倦怠感、頭痛などの全身症状を認めることもあります。炎症が気管支におよぶと咳嗽や痰がみられるようになり急性気管支炎と診断されます。肺炎は、主に細菌やウイルスが肺に感染して炎症を起こす疾病です。38℃以上の高熱を認めることが多く(高齢者では熱が出ないこともあります)、咳嗽、痰、呼吸困難、胸痛以外に、食欲不振、倦怠感や悪寒、筋肉痛、関節痛、頭痛、頻呼吸、頻脈などの全身症状を認めることが多くなります。

市中肺炎、医療・介護関連肺炎、院内肺炎

健常者や軽度の基礎疾患がある方が普段の生活の中で発病してしまう肺炎のことを市中肺炎と呼びます。一方、入院した患者さんが48時間以上経って新たに発病した肺炎を院内肺炎と呼びます。最近では介護施設、療養施設で発病する肺炎患者さんも増えてきており医療・介護関連肺炎と呼ばれます。

肺炎の原因

肺炎の原因には、細菌性肺炎、ウィルス性肺炎、非定型肺炎があります。肺炎は我が国での死亡原因の第3位ですが、肺炎で亡くなられる方の約95%は65歳以上となっており、高齢者では注意が必要な病気になります。細菌性肺炎の原因として、肺炎球菌やインフルエンザ菌などがあります。肺炎球菌はとくに重要で、市中肺炎で入院された65歳以上の方の原因微生物の3割が肺炎球菌となっています(肺炎球菌30.3%、インフルエンザ菌7.5%)。ウィルス性肺炎は乳幼児、高齢者や免疫機能が低下している方に見られることがあります。非定型肺炎にはマイコプラズマ肺炎などがあり、60歳未満の方でもみられる肺炎で頑固な咳症状が多く認められます。

肺炎の治療

原因を調べ、それに合った薬を用いて治療をします。病状によっては入院での治療が必要になります。

肺炎の予防

・うがい、手洗い、マスクの着用

・口腔内を清潔に保つ

・誤嚥を防ぐ

・禁煙

・規則正しい生活をする

・持病の治療をする

・肺炎球菌ワクチンを接種する

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌には93種類の血清型が存在します。この中の23種類の成分から作られたものが肺炎球菌ワクチンとして用いられています。肺炎球菌ワクチンを接種しても肺炎球菌による肺炎になることはありますが、この場合でも軽症ですんだり抗生剤が効きやすいといった効果が期待されています。

平成26年10月1日から65歳以上の高齢者への肺炎球菌ワクチンは定期予防接種となりました。平成30年度までは、その年度中に5の倍数の年齢になる方が対象で、国からの一部助成を受けることができます。平成31年度からはその年度中に65歳になる方だけが対象になります。

肺炎球菌ワクチンの再接種

肺炎球菌ワクチンを4年以内に再接種すると、接種した局所の疼痛が強く出るなどの副反応が出る恐れがあります。また、一度接種したワクチンの効果は5年を経過するころから徐々に低下し始めることから、リスクの高い方は5年以上経過した時点で再接種を検討することになります。かかり付け医とよく相談をして決めて下さい。ただし、2回目の予防接種は任意接種となるため助成を受けることはできません。