当院で新型コロナウィルス抗体検査を受けることができます(自費検査)
濃厚接触や新型コロナウィルス感染が疑われる症状がある場合には、抗体検査ではなく指定医療機関でPCR検査を受けてください
新型コロナウィルス抗体検査
厚生労働省は2020年6月から東京都、大阪府、宮城県で、新型コロナウィルス感染率の疫学的調査を目的として無作為に抽出された一般住民を対象とした抗体検査を実施することを発表しました。
◎ 当院でも新型コロナウィルス抗体検査を受けることができます(厚生労働省の実施する疫学調査とは関係ありません)
〜検査を受ける前に以下の内容を十分に理解してください〜
抗体検査とは?
新型コロナウィルス感染の検査法には、PCR検査、抗原検査、抗体検査があります。PCR検査、抗原検査は新型コロナウィルス自体を検知するものです。従って、陽性であればその時点の感染を意味するため入院を含めた対応が必要になってきます。一方、抗体は体内の免疫反応によって感染1〜2週間後から増加してきます。したがって、抗体検査陽性とは検査の1〜2週間以前に感染の既往があることを意味しますが、いつ頃感染したかを決めることはできません。 世の中には数多くの抗体検査が存在します。その場で判定ができる簡易的な方法もありますが、新型コロナウィルスの簡易抗体検査では疑陽性が多いことが問題視されています。今回、厚生労働省が採用した抗体検査法は偽陽性が少ない方法と考えられています
抗体とは?
抗体は、細菌やウィルスなどの外敵やがん細胞などを排除するために体内で作られます。抗体にはIgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5種類が存在し、新型コロナウィルス感染ではIgGとIgMの2種類が関与してきます。一般的には、IgM抗体は感染早期に作られ、続いてIgG抗体が産生されます。いずれも外敵の排除に役立ちますが、IgG抗体には細菌やウィルスの再感染を防いでくれる働きもあります。しかし、新型コロナウィルス感染におけるIgGとIgMの動向や働きにはまだ分かっていない部分が沢山あります。例えば、新型コロナウィルスのIgG抗体が陽性であっても病状が再燃する症例も報告されています。仮に抗体検査で陽性であっても抗体価が十分でなければ再感染のリスクもあると考えられます。また、インフルエンザウィルスのように新型コロナウィルスに遺伝子変異が生じたときには、過去に作られた抗体は無意味なものになってしまう可能性があります。
何のための検査?
現時点では大きな集団での疫学的な意味合い(集団内の感染率を知る目的)が強い検査になります。
それでは、個人レベルでの抗体検査の有用性はどうでしょうか。厚生労働省が採用している検査法の陰性的中率は100%と発表されています。したがって、抗体検査が陰性であれば新型コロナウィルスに感染していないと判断することができます。一方、抗体検査が陽性であった場合の解釈は難しい点が残されています。抗体検査陽性であれば新型コロナウィルス既感染を意味することに間違いないのですが、無症状の抗体検査陽性者の中にPCR検査で陽性となる事例が報告されていることから、たとえ無症状であっても「抗体検査陽性=治癒」、「抗体検査陽性=他人に感染させることはない」を意味するわけではないのです。さらに、「抗体検査陽性=再感染しない」というエビデンスも今のところ明らかではありません。
どんな人が受けた方が良いか?
現時点では積極的に抗体検査を受けることをお勧めするものではありません。当然ですが、新型コロナウィルス感染患者と濃厚接触があったとか、微熱や倦怠感、味覚症状などの症状があって感染診断を目的とするのであれば、保健所あるいは指定医療機関でPCR検査を受けて下さい。一方、濃厚接触がなく典型的な症状もないためPCR検査の対象外とされているけれど、類似した症状が2週間以上続くため新型コロナウィルス感染ではないかと不安で仕方がないと言われる方には、抗体検査によって新型コロナウィルス感染を鑑別してあげることができます(ただし、病悩期間が短い場合には抗体が十分産生されていない可能性もでてくるため判断が難しくなります)。また、仕事や学業などで未感染であることの証明が必要となるケースには有用と考えられます。
検査の方法
厚生労働省が採用した検査法は、アボット社、モコバイオ社、ロシュ社の3社の抗体検査です。この中でアボット社、ロシュ社の抗体検査が自費検査として病院、診療所で受けることができるようになりました。両社の検査法に優劣はないと思われますが、当院では公表されている陽性的中率の高いロシュ社の抗体検査を行います(ロシュ社:陽性的中率96.5%、陰性的中率100%、アボット社:陽性的中率92.9%、陰性的中率100%)。
◎現時点での抗体検査の意義を十分にご理解した上で検査をご希望される方が対象です。
◎検査代は8,800円(税込)です(保険適応外)。
検査の流れ
- 1. 血液検査を行います(空腹である必要はありません)
- 2. 結果が出るまで3〜5日かかります
- 3. 陽性の場合の対応は個別で相談していきます 。