ピロリ菌について

最近ではテレビや新聞、雑誌でも話題になっており、一度は聞かれたことがあると思います。正式名称はヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、ヘリコは“らせん”、バクターは“細菌”、ピロリは“胃の出口付近を表すピロルス(pylorus)”を語源にしています。ピロリ菌は長さが3〜5μmのらせん状の形をした細菌で、先端にある数本の鞭毛を動かして移動します。最初に発見されたのが胃の出口付近であったためピロリと名付けられましたが、実際は胃の中全体に存在しています。

ピロリ菌の感染経路

正確なところは分かっていません。井戸水や土壌からの感染も想定されていますが、ほとんどは人から人への経口感染と考えられています。

いつ頃の感染?

成人になってからの感染では胃内に定着し続けることは稀で、幼少期の5歳頃までに感染した場合に持続感染になると考えられています。我が国での感染率を見ると、20歳代までは20%未満で推移していますが50歳以上では40%を超えています。成人になってからの感染率増加はほとんどないことから、年代ごとの感染率の差は幼少期を過ごした時代の衛生環境を反映していると考えられています。従って、将来の我が国でのピロリ菌感染率はさらに減少すると予想されています。

ピロリ菌に関連した疾患

萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、胃MALTリンパ腫、機能性ディスペプシア、特発性血小板減少症など

ピロリ菌検査

呼気テストや、尿、便、血液、胃粘膜を用いた検査で診断できます。ただし、一般診療で検査を行うためには、先に胃内視鏡検査を行っておくことが必要と定められています。

ピロリ菌治療

胃酸の分泌を抑制する胃薬と2種類の抗生物質を組み合わせた方法で行われます。除菌成功率は約80〜90%で、除菌に失敗した場合には別の薬を組み合わせた二次除菌治療を受けることができます。いずれの組み合わせにもペニシリンが含まれるため、ペニシリン・アレルギーがある方はこの治療を受けることができません。

ピロリ菌の除菌治療をされる方へ

ピロリ菌治療に成功した後で

そもそも、絶対にピロリ菌治療を受けなければいけないわけではありません。ただ、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫は、ピロリ菌治療が成功すると治癒することが期待できるので除菌治療が積極的に勧められています。一方、胃がんに関しては予防効果が期待されてはいますが、治療に成功しても一生胃がんにならないことが保障されるわけではあリません。大切なことは、ピロリ菌治療に成功した後も定期的な胃がん検診(内視鏡検査)を継続することです。