虚血性腸炎

  血管に十分な血液が通らなくなることを虚血といいます。虚血性腸炎は、大腸の粘膜の中の血管に十分な血液が通らなくなることで生じる病気です。

 ほとんどは、一時的に虚血になるもののその後回復する一過性型ですが、腸管が狭くなってしまうことや、大腸が壊死してしまうこともあります。たいていは、便秘や排便後に腸壁が強度に収縮することで血流障害が起こり虚血になるケースです。

 多くは夜中から明け方に発症します。突然の強い腹痛と下痢が生じ、やがて血便(鮮血)が続くのが特徴です。下行結腸(大腸の左側)の血管が狭窄することが多いため、おなかの左側が突然痛くなることが多く見られます。

治療

 安静と食事制限で炎症の改善を図ります。腹痛、血便が高度であれば入院治療を行います。一過性の場合には、約一週間で腸管粘膜は再生され治癒します。虚血を引き起こしている原因がある場合はその治療を行います。徐々に悪化する狭窄型や壊疽型の場合は手術を行うか検討します。原因の有無にもよりますが、約10%の方に再発することがあると言われています。